先日、yahoo!ニュースにこんな記事が載せられていて、トップニュースになっていました。
同じ研究室生活をしている大学生として、見逃せないニュースですね。
近頃はブラック企業の実態が明らかになり会社の仕組みが変わってきつつありますが、大学の研究室は全くと言っていいほど何も変わっていないのが現状です。
今ではGoogleの検索エンジンで「大学 研究室」と入力すると、一番上に表示されるのは「つらい」と表示されています。
大学の仕組みは、留学支援やグローバル化などの外部的なことを謳っていても、内部状況が古いままで変わっていないのが実態です。
なぜ大学の研究室制度は長きに渡って変われていないのか、大学生である自分たちが考えていかなければいけない問題です。
大学には奨学金問題や就活問題、授業コンテンツ時代の問題など様々な問題点がありますが、今回はリアルな大学の研究室の実態について述べていこうと思います。
大学生は平均どのくらい研究室に?
まず初めに、大学の学部は大きく理系と文系というように区分けされていて、主に文系学部は文学部や法学部、経済学部、教育学部などが含まれています。
それに対して理系学部は工学部や理学部、農学部に医歯薬学部などが含まれています。
一般的に世間のイメージ的には理系の方が研究室にいる時間が長そうといった感じかと思いますが、事実その通りです。
以下の写真をご覧ください。
引用:にころぐ
この画像はにころぐの中に載せられていたものなのですが、実際こんな感じです。
明らかに理系の学生の方が研究室の滞在時間が長いですね。
恐ろしいのは、12時間以上研究室にいる人の割合が28%となっているところで、12時間以上というのは上限がわからない点です。
朝10時に研究室に行ったとして夜の10時まで、あるいはそれ以上や徹夜などする学生が28%もいるということです。
これでは自由時間がほとんどないことに加えてアルバイトなどもできず、仕送りをもらっていない学生は奨学金に頼らざるを得なくなってしまいます。
奨学金の問題はここでは述べませんが、研究室滞在時間の問題よりもかなり深刻なのは間違いないです。
実際、僕の先輩方で奨学金を1年生の頃から借りながら大学を卒業し多人は、社会人1年目から多額の借金を抱えて生きています。
こうなってしまうと、新卒で入った会社がどんなにブラックでしんどくてもやめる決断ができません。
まさに負のスパイラルに飲み込まれた典型的な例です。
なので、僕はブラック企業とか奨学金の問題の根本にあるのは、この大学、大学院時代の研究室生活にある程度の原因があると考えています。
波風起こすことにメリットがない
では、研究室の生活がしんどいからと言って、それを教授や大学側に言ったところでメリットはあるでしょうか。
同期や仲の良い先輩などに相談して共感するのは会社でもよくありそうなことですが、直接上の立場の人に言うことはあまりないように思います。
会社の中には労働組合があり、労働者が団結して会社に意見するというケースはあります。
しかし、大学にはそのような組織が存在せず、あったとしても学生自治体くらいなので規模が違います。
また、会社と大学の大きな違いは、金銭面からも明らかだと言えます。
会社の場合は労働対価として給料を貰うことができますが、大学の場合は自らお金を払って研究室に所属させてもらっています。
なので、文句があるのならば辞めればよいといったことにもなりかねませんよね。
ただ、個人的にはそうでもないのではないかと思っています。
研究室の構成は、教授や准教授、助教がいて学生が研究室のメンバーとして属しています。
当然ながら教授方は大学内では先生という役割となっているので、講義や実験指導をしたり、学生に時間を取られることが多くなってしまいます。
そこで、自分の研究室の大学院生にTA(ティーチィングアシスト)や実験の手伝いをさせることで上手く時間を使っています。
なので、言い方は悪いですがその教授たちの駒となる大学院生がいなくなってしまったら、教授側からしても手が回らず困ってしまうわけです。
そこで大学側は、より多くの人を4年生から大学院に進学させることによって、そのサイクルを成り立たせているのではないかと思っています。
仮に理系学部のすべての4年生が大学院に進学せずに就職してしまったら、おそらく今の研究室の仕組みは成り立たなくなってしまいますから。
なので、大学側は研究室のメンバーとなってもらうために、4年生のうちに院試勉強の環境を整えたり、大学院に行かないと就職は厳しいといったことを伝えるのでしょう。
一種の、研究室ビジネスとでも言える状態です。
確かに、将来大学で学んだ分野の研究職についたり、大学組織の中で働きたいのであれば、大学院進学は欠かせないです。
しかし、学生の内から将来の夢が決まってる人、または大学を選ぶ時から将来の夢が決まっていて、それを実現するための大学を選んで入ったという人はかなり少数派です。
今でも世間的には大学に行っていることが尊いと思われがちですが、夢を持っておらず、いかに楽をして卒業、学生生活を謳歌できるかを優勢して考えている学生はかなり多いでしょう。
なので、わざわざ波風が立つようなことはしたくないし、それをしたせいで大学院進学や就職が不利になる可能性を生みたくないのかと感じます。
大学院に進学しないといけないという風潮
これは理系の学部に限られることかもしれませんが、4年生で院試勉強をせずに就職活動をすると、変な扱いを受けることがあります。
実際僕も現在4年生で就職活動をしているのですが、先生によっては
- 就活せずに院にいった方が良いとやたら勧めてくる
- 実験やゼミの発表などが未熟だと、「これだから就活組は…」となる
- 就活で欠席しますと言いづらい雰囲気があり多少無理して学校に行く
などの経験をしたことがあります。
これは工学部学生のほんの一部の事例であり、僕自身はこの程度なら割と理解のある先生方だとも個人的には思ってます。
それくらいに、他の就活生の話やネットでの体験談を見ているとハラスメントレベルでの扱いが目立ってて。
講義が終わって実験が終わって夜の20時くらいになり、そこから研究室の先輩が院試勉強を教えてくれるといったものまであります。
本気で大学院に行きたい人にとっては非常にありがたいものですが、正直4月や5月の時期から研究室に残って勉強なんてこれから2年間の院生活が心配になってきますね。
これはおそらく先ほども述べたように、研究室のある学部は基本的に院に進学してもらわないとサイクルが成り立たないからに限るでしょう。
いわば教授が社長で院の先輩が上司、学生が部下といった構図になっているので、その部下がいなくなってしまっては自分の仕事や成果に悪影響が出てしまいます。
もちろん教授の方達は多忙で院生の人たちも忙しいので、教えればできそうなことはできるだけ自分でやりたくないですから。
以上が、理系の学生が4年生で就活をすると煙たがられる一番の原因ではないかと。
これを深刻にさせているのが就活時期が思いっきり学校前期の時期と被ってしまっていることにもありますが、そこは優先順位を考えて工夫していくしかありません。
就活時期は会社にとっても優秀な学生は早くとっておきたいので、いくら国が改定しようとそう簡単には変わらないものと考えた方が良いでしょう。
どうせ1年しか研究室にいないんですから、変に教授の評価を意識しすぎて就活を遠慮してしまっていると、いつか後悔するかもしれません。
自分にとって何が優先すべきことなのかよく考えて、研究室と就活の両立を測ってください。
最後に
今回は、大学のブラック研究室について、研究室生活をしている現役大学生のリアルな視点から考察してみました。
大学の研究室で生活している人の多くは疲弊していて、とてもストレスを抱えた人が多いように感じます。
実際、研究棟の廊下を歩いていたり喫煙所で人と会ったりしてもみんな疲れ切った顔をしています。
個人的に東京都内の朝の満員電車で出会う人たちと同じ雰囲気を感じるので、こんな風に学生時代から消耗してしまっていては将来が心配になります。
しかし、自分が好きなことや熱中していることであれば、同じように時間が拘束されたとしても全く疲弊しないと思います。
もはや拘束されているという感覚にもならないでしょう。
研究室生活をしている、又はこれからする人には、
- 研究室で時間を過ごすことが本当に将来の自分に必要なのか考える
- 自分の行動について常に考え、受け身ではなく自ら考えて行動する
- 将来について考えたり、自分が今何をすべきか考える機会を設ける
このことを頭に置いて、ただ単に消耗するだけの奴隷のような生活を送らないように心がけましょう。
そして、どうしても研究室生活が辛いと感じるようになったら環境を変えてみることをオススメします。
今まで関わってこなかったような人と会って話したり、それが難しかったらインターネットで検索してブログや記事などをみてみましょう。
常に思考停止することなければ、自分にとっての正解が見えてくるようになりますから。